彼が今回の出向にあたって与えられたミッションは、経営の再建である。バブルの後遺症で経営が傾きかけていたこの商社を、銀行の融資課長という立場で建て直すのが彼に与えられた大きな使命だった。「こうなったらやるしかない。どこまで出来るかわからないが、自分の力を試してみよう……」Oさんは今回の出向を前向きに捉えることにした。どうせやるならしっかりと経営を建て直して、銀行の本社の面々を見返してやろう、そんな気構えで臨んでみることにした。
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それから四年。新しい職場にどっぷり浸かり、経営の一翼を担ったOさんは懸命に働いた。「銀行から天下ってきたヤツ」という社内の視線にも耐え、黙々と「よかれ」と思うことを実践してきた。その結果徐々に会社の業績は好転し、彼は会社にとっての救世主となっていったのである。そして銀行も〇さんの仕事を認め、ついに本社への復帰が認められるに至った。○さんが帰参した一年後、この銀行は不良債権を処理できずに破綻した。銀行の中しか知らない○さんの同僚・同世代の管理職が進路を獲得しあぐねている中で、Oさんの経歴書には「輸入商社の経営建て直しに成功」という実績が燦然と光っていた。そして大きな障壁もなく、とある中堅商社の管理部門長として転職を果たすことができたのである。年収も現状を維持することができた。「出向しといてよかったですよ。ポンドそう思います」そう笑う〇さんの顔は、自信に溢れて見えた。